デュピクセントのご紹介(「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎」の治療薬)

デュピクセントとは?

デュピクセントは、「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎」「アトピー性皮膚炎」「気管支喘息」などの病気に対して、これまでのお薬とは異なるメカニズムでアプローチを行う新しい治療薬です。
これらの病気が発症する際には、共通して「IL(インターロイキン)-4およびIL-13のシグナル伝達」からくる「2型炎症反応」というメカニズムが主要な役割を果たしています。
デュピクセントはこういった炎症反応の起こるメカニズムに着目し、炎症反応の”もと”となる部分を抑える治療薬です。
したがって、これまで外用薬・内服薬などによる治療では十分な改善効果が見られなかった患者さんに対しても、高い治療効果を期待することができます。
もし、上記のような病気でお悩みでしたら、医師へお気軽にご相談ください。

「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎」とは?

慢性副鼻腔炎は、副鼻腔と呼ばれる部分に炎症をきたす慢性疾患です。
その中でも、治りにくい副鼻腔炎をお持ちの患者さんには、
「鼻茸(鼻ポリープ)」と呼ばれる特徴的な「粘膜のふくらみ」が
鼻の中、副鼻腔などにできてしまうことがございます。

「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎」の代表的な症状として
・重度の鼻詰まり
・匂いがわからない(嗅覚障害、味覚障害)
・粘り気のある鼻水
といったものが挙げられます。
さらに、副次的な悪影響として
・鼻詰まりのせいで睡眠不足になる
・鼻詰まりのせいで作業に集中できず、仕事や勉強に支障が出る
・においや味がわからないため、食事が楽しめない
といったことに悩まれている方もいらっしゃいます。

 

この「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎」をお持ちの患者さんの体内では
・好酸球の分化・増殖・組織への遊走
・(B細胞のクラススイッチ、および)IgE産生
・副鼻腔粘膜上皮のバリア機能の破綻
・粘液の過剰生成
などといった様々な病態生理学的特徴(2型炎症)が見られます。
また、これらの2型炎症はIL-4、IL-13が中心となって引き起こされていることが判明しています。

 

一般的には、この「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎」に対する治療として
・薬物療法(ステロイドを含む点鼻薬、飲み薬などによる症状の緩和)
・手術療法(鼻茸の切除)
などといった手法が取られます。
もちろん、これらの治療法で症状がすっきり改善する方は多いのですが、
重度の慢性副鼻腔炎をお持ちの方の中には
こういった従来の治療を実施しても
・治療効果が充分に現れない
・一度良くなったとしても再発してしまう

場合がございました。

デュピクセントによって期待できる効果

前述の通り、慢性副鼻腔炎をお持ちの患者さんの中には、
従来の薬物治療や手術を行っても再発を繰り返すような、治りにくいタイプの方が一定数いらっしゃいました。
そのような「これまでの治療ではうまく症状をコントロールできなかった方」であっても、
炎症反応の”もと”となる部分を抑える治療薬であるデュピクセントを使用した治療を続けることで、
・鼻詰まりの改善
・においのわかりにくさを改善する
・鼻茸を小さくする
などといった形で
「鼻の症状がコントロールされた状態を維持し、健康な人と変わらない日常生活を送る」ことを期待できます。

もともとデュピクセントは、同様にIL-4、およびIL-13が関わることで発症する「アトピー性皮膚炎」「気管支喘息」などに対する適応で製造・販売の承認を得ていました。そこから、2020年3月26日から「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)」に対する効能・効果追加の承認を取得しました。

デュピクセント投与のスケジュール

・全身性ステロイドなどの薬物療法を実施しても症状が改善しない・長期改善状態を維持できない
・「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎」の手術を行ったが、後に再発してしまった
といった方がデュピクセントをご使用いただけます。
(15歳未満の方はデュピクセントの投与ができません。あらかじめご了承くださいませ。)

デュピクセントは、「1回あたり300mgの薬剤を2週間間隔で皮下投与(注射による投与)」という形で治療に用います。
※症状安定後は、医師の判断のもと「1回300mgを4週間間隔で皮下投与」に変更する場合もございます。

また、デュピクセントによる治療を始める前に行っていた治療(点鼻薬、飲み薬など)に関しても、自己判断で中止することはおやめください。ご不明点等ございましたら、お気軽に担当の医師にご相談ください。

また、デュピクセントの投与に際し、
投与日、症状、その他気になることなどを記録するための「治療日誌」をご記載いただくことをお勧めしております。詳しくはこちらからご参照くださいませ。
https://www.support-allergy.com/crswnp/useful/diary

特定の背景を有する患者様に関するご注意

・寄生虫感染のある方
・生ワクチンを接種する予定のある方
・妊婦または妊娠している可能性のある方、授乳中の方
・高齢の方
・喘息等の他のアレルギー性疾患をお持ちの方
は、安全上の観点からデュピクセントによる治療をお控えいただく可能性がございます。
特に、喘息やアトピー性皮膚炎、じんましんなどをお持ちの患者さんは、その疾患や現在使用中のお薬について、必ず医師にお伝えください。
デュピクセントによる治療を開始するからといって、自己判断で喘息やアトピー性皮膚炎、じんましんなどの治療薬を減らしたり、中止したりすることの無いようにして下さい。
ご不明な点等ございます場合は、お気軽に担当医師へご相談ください。

デュピクセントによる副作用

デュピクセントの投与により、以下のような副作用が現れる可能性がございます。万が一副作用が現れた場合は、速やかに担当の医師へご連絡ください。

[予想される主な副作用]
・注射をした後、注射部位(腕、おなか、太ももなど)に痛みを生じる、かゆくなる、出血する

[起こる可能性は低いものの、注意が必要な副作用]
・めまい、ふらつき、立ちくらみ
・呼吸時の「ゼーゼー」という音、呼吸困難
・腹痛、嘔吐
・発疹、むくみ
・発熱、息切れ
・手足のしびれ
これらの症状は「アナフィラキシー反応による症状」もしくは「好酸球数の増加による症状」と呼ばれます。

起こる可能性は低いものの注意が必要な症状ですので、お気付きの際は速やかに担当の医師へご相談ください。

デュピクセントによる治療にかかる費用

デュピクセントの薬剤費   「ペン」 「シリンジ」
1本あたりの薬剤費 66,562円 66,356円
自己負担額
(医院窓口でお支払いいただく金額)
3割負担の方 19,969円 19,907円
2割負担の方 13,312円 13,271円
1割負担の方 6,656円 6,636円

※デュピクセントは、「ペン」タイプと「シリンジ」タイプとがございます。
内容量、内容物はまったく同じですので、注射のしやすさ、金額などからご選択いただくこととなります。

デュピクセントは非常に高額な治療薬です。また、継続して使用することで効果が現れる薬でもあります。
したがって、医療費控除や高額療養費制度など、各種医療費助成制度活用のご検討をお勧めいたします。医療費助成制度にはいくつかあり、以下にその一例を挙げております。
それぞれの窓口などにお問い合わせください。

高額療養費制度

1ヶ月に医療機関へ支払った金額(自己負担額)が一定額を超える場合、超過分の払い戻しがされる制度です。詳しくは加入している保険者の窓口もしくは厚生労働省のHPをご確認ください。

厚生労働省のHPはこちら

詳しい試算をされたい方はこちら

医療費控除 同一世帯の年間医療費の総額が10万円を超える場合、領収書を添付して確定申告を行うことで、所得状況に応じて税金の一部が還付される制度です。医療機関や診療科などの区別はなく、また、薬局・薬店で購入した風邪薬などの購入代金、入院時の部屋代・食事代の他、医療機関への交通費も一部認められます。
領収書は捨てずに、ご家族の分もまとめて保管しておくことをお勧めいたします。詳しくは、最寄りの税務署もしくは国税庁HPをご確認ください。
国税庁HPはこちら
その他の制度 自治体が独自で運用している制度や企業の健康保険組合なども、条件が合えば適用される場合がございます。詳しくはお住まいの自治体や保険者の窓口などにお問い合わせください。

 

最後に

デュピクセントは、炎症反応の起こるメカニズムに着目し、炎症反応の”もと”となる部分を抑える新しい治療薬です。「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎」「アトピー性皮膚炎」「気管支喘息」などの病気をお持ちで、これまで外用薬・内服薬などによる治療では十分な改善効果が見られなかった患者さんに対しても、高い治療効果を期待することができます。
もし、上記のような病気でお悩みでしたら、医師へお気軽にご相談ください。

デュピクセントについて、より詳しくお知りになりたい方はこちら

https://www.support-allergy.com/crswnp/